羊の食し方いろいろ
ここでは、ジンギスカン以外の羊料理をいくつか紹介していきましょう。ジンギスカン好きとはすなわち羊好き。きっとこんな食べ方も気に入るはずです。また、自分たちでオリジナル料理にチャレンジしてみるのも一興です。おいしい羊肉の食べ方を実践していらっしゃる方は、ぜひその情報をお寄せください。
たまには上品に?
ラムチョップステーキを味わう
フランス料理でも有名なラムチョップ。これは羊のあばらの肉で、肋骨の一本づつ骨ごと切り分けて食べやすくしたものだ。羊肉にこだわらなくとも、フランス料理やその系統のバイキングなどでお目にかかったこともあるだろう。フランス料理店などで食べようと思うと当然高くつくので、この際自前で食べることを考えよう。羊の生肉を扱う肉屋であれば、このタイプも売っていることが多い。
焼き方はグリルでのステーキ風か、炭火での網焼きかどちらかだ。ステーキ風ならオリーブオイルにニンニクをひとかけ炒めてから。味付けは塩こしょうのみで決めたい。塩のうまみが決め手なので、塩にもこだわりたい。ミネラル豊富な岩塩などが理想的だ。焼く前にまんべんなく味付けをしておく。炭火で網焼きの場合、網の焼け目がつくくらいに両面を焼く。グリル焼きの場合はお好みで醤油をたらしてもよい。焼きすぎに注意すれば、肉の中はレアで肉汁がじゅわ〜とあふれ出る。羊のかほりも十二分に味わえて、至福の一時を過ごせるはずだ。
羊が嫌いな人にとって、羊のしゃぶしゃぶなんて「え〜? やだぁ!」というところだろうが、驚くなかれしゃぶしゃぶのルーツは「ショワヤンロオ」という、中国の北京地方の料理で、羊の肉をゆでて食べるものだ。明の時代からあったようで、清代には宮廷料理にもなっている。「フォイコオズ」と呼ばれる煙突のある鍋にえびや椎茸などのスープを煮立たせ、去勢した雄羊の薄切り肉を煮るという。また、モンゴル料理にも「ハロントガ」というメニューがあり、これも羊のしゃぶしゃぶだ。
日本に入ってきたのは、第二次大戦後。中国で生活した日本人がその食べ方を伝え、日本人向けに羊肉を牛肉に替えて売り出したという。この食べ方が人気を呼び、あっと言う間に全国に広がったそうだ。
ということは、ジンギスカンとしゃぶしゃぶは料理としての出自というか素姓は同じようなものだ。そこで当倶楽部は思う。しゃぶしゃぶは今やすっかり市民権を得、専門店も多い。しゃぶしゃぶのタレなどはスーパーにいやというほど並んでいる……。この待遇、この地位の差はなんなんだ! と。日本国民よ、そんなに羊が嫌いかぁ!
と、ひとしきり憤ったところで本題に戻ろう。
ラムのしゃぶしゃぶである。これを食べるのはなかなかむずかしい。出してくれるお店が少ないし、肉を買おうにもラムの薄切りは「肉のハナマサ」でも売ってはいない。とりあえず当倶楽部で確認している飲食店はモンゴル料理専門店の1軒だけだ。
ここは、通販で肉を用意して自宅で挑戦してみることをおすすめする。ジンギスカンと違ってしたくや後かたづけも容易だし、臭いが部屋にこもることもない。通販案内ページで紹介した「なみかた」であれば、しゃぶしゃぶ用の肉が用意されているので安心だ。生ラムショルダー、もも、地物サフォークロース、もも、冷凍ラムロースと選択肢も多いので食べくらべも楽しい。
絶品! 羊のたたき、そしてルイベ
羊は牛と同じく生焼きでも平気。ということは牛と同じようにたたきや刺身で食べることもできるはずだ。しかしこれもなかなか挑戦がむずかしい。羊のたたきや刺身を出すお店もあるが、非常に少ない。当倶楽部ではこの難関も通販でクリアした。まるで「なみかた」の宣伝ページになってしまうが、今のところ同店しか入手の手だてがないのでご勘弁を。
まず、羊のたたき。マトンのロースまたはサーロインからていねいに筋を取り表面を軽くあぶったものだ。中は当然レア。ポン酢かにんにく醤油で食す。生肉に近いのでクセは強くない。ほんのりと羊の風味がする感じ。そしてやわらかい。美味である。
次にルイベ。ルイベという名前自体聞き慣れない人も多いだろう。北海道では鮭のルイベが有名で、これは凍った身を半解凍の状態で食べるものだ。羊も同じことで、凍った状態の肉を薄く切り、とけかけのしゃくしゃくしたのをニンニク醤油でさっと食べる。これが絶品。もわっと羊のかほりがしてなんとも言われぬうまさだ。酒のつまみにうってつけ。ただ、羊嫌いの人はもわっと来た時点で吐き出すという。
通販とは言ったが「なみかた」でもこの二品は正式な商品ではない。手間がかかることと、肉によって味のばらつきが結構あるかららしい。ジンギスカンなどを注文するとおまけで付けてくれたりするので、それを期待するしかない。いずれにせよ、真の羊好きにはぜひ味わって欲しい幻の逸品だ。